大阪市中央区北浜の税理士室田昌克です。
前回は、決算書には「損益計算書=経営成績」「貸借対照表=財政状態」という2種類があるというお話をしました。今回は、貸借対照表(B/S)の中身にもう少し踏み込んでみましょう。
※前回同様、パワーポイントの資料全体はこちら。
右側は「お金の集め方」、左側は「お金の使い方」
(参照:元PPT p.5)
貸借対照表は、大きく左右2つのブロックに分かれています。
- 右側=お金の集め方(負債・資本)
- 左側=お金の使い方(資産)
集めたお金を何に使ったかを一覧にした表であり、左側の合計(資産)と右側の合計(負債+資本)は必ず一致します。左右がぴったり釣り合う(バランスする)ことから、「バランスシート(B/S)」と呼ばれています。
余談です。 弥生会計などの会計システムを使用すると、各取引で右側と左側が一致しないとエラーになります。
そのため、仕上がった決算書は必ず「バランスシート」です。エクセルで会計するとこのエラーが出ないことがあり、「アンバランスシート」が出来上がることがあります・・・

右側はさらに2種類に分かれる
(参照:元PPT p.6)
右側の「お金の集め方」は、さらに性質の異なる2つに分かれます。
- 負債:将来、返済(支払)する必要があるお金(銀行借入、支払手形、買掛金など)
- 資本(純資産):返済する必要のないお金(出資金や、これまでの利益の蓄積など)
同じ「集めたお金」でも、返さなければならないお金と、返さなくてよいお金では、会社にとっての性質がまったく異なります。負債が多い会社は将来の返済負担が重くなります。資本が厚い会社には財務的な余裕があります。
会社経営を考えるとき、「借入」と「資本」のどちらでお金を集めるのが望ましいかは、状況によって一長一短があります。借入は返済義務がある一方で、経営権に影響しません。 資本(増資)は返済不要な一方で、株主構成に影響を与えます。

左側「資産の部」をさらに分解する:流動資産と固定資産
(参照:元PPT p.8)
左側の「資産」も、性質によって2つに分けられます。
- 流動資産:通常の営業活動で生じる資産、または1年以内に現金化される資産(例:売掛金、在庫など)
- 固定資産:現金化するのに1年を超える時間がかかる資産(例:土地、建物、機械、株式など)
この分類の基準は「現金化のしやすさ」です。流動資産が多い会社ほど、必要なときにすぐお金に換えられる資産を多く持っているということになり、資金繰りが安定しやすい傾向にあります。逆に固定資産の比率が高い会社は、事業のために大きな投資をしている一方で、急な資金需要には対応しづらい面があります。

右側「負債の部・純資産の部」もさらに分解する
(参照:元PPT p.9)
右側についても、もう少し細かく見てみましょう。
- 負債の部:将来的に返済・支払が必要なもの(例:借入金、支払手形、買掛金)
- さらに「流動負債」(1年以内に支払う負債)と「固定負債」(それ以外)に分かれます
- 純資産の部:返済・支払が不要なもの(例:出資金、利益の蓄積)
資産の分類とは逆に、流動負債(=1年以内に払わなければならないお金)が多いほど、資金繰りは不安定になりやすいと言えます。「流動資産は多いほど安心」「流動負債は多いほど注意」という、対照的な見方を覚えておくと分かりやすいです。

全体像を図でおさらい
貸借対照表を図にすると、次のようなイメージになります。
【お金の使い方】 【お金の集め方】
流動資産(換金しやすい) 流動負債(1年以内に支払)
固定資産(換金に時間) = 固定負債(1年超で支払)
純資産(返済不要)
左側の「資産」の合計と、右側の「負債+純資産」の合計は常に一致します。この一致こそが、貸借対照表を理解するうえでの一番の基本ルールです。


まとめ
- 貸借対照表の右側=お金の集め方、左側=お金の使い方
- 左右の合計は必ず一致する(=バランスシート)
- 資産は「流動資産」と「固定資産」に、負債は「流動負債」と「固定負債」に分かれる
- 流動資産が多いほど資金繰りは安定し、流動負債が多いほど資金繰りは不安定になりやすい
次回は、この貸借対照表が損益計算書とどうつながっているのか、実際の数字を使って見ていきます。


